郷土と天文の博物館ブログ

星の名前

令和6年7月18日

 プラネタリウムで星のお話をしていると、お客様からいろいろな質問をいただきます。その中から、ひとつご紹介しましょう。
「すべての星に名前がついているのですか」
宇宙空間に無数にある星。まだ発見されていない星もあるかも知れませんが、把握されている星には何かしら名前がついています。そんな「星の名前」について、今の時期に見られるみなさんもよくご存知の星を例にお話します。

写真:夏の大三角とさそり座のイメージイラスト

 明るい星でつくる三角形が夜9時頃、空高いところ、頭の上のほうに見えます。『夏の大三角』です。3つの星はそれぞれ、「こと座のベガ」、「わし座のアルタイル」、「はくちょう座のデネブ」といいます。そして、南の空の低い所には赤く輝く星があります。「さそり座のアンタレス」です。

 同じ星でも、名前というより、番号、識別番号のようになっているものもあり、それぞれのルールにのっとって決められています。たとえば、ギリシャ文字を使うルールでは、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、…となります。これは星の明るさ順になっていることが多く、さそり座のなかで一番明るい星は、「さそり座のアルファ星」になります。同じように夏の大三角の星も、「こと座のアルファ星」、「わし座のアルファ星」、「はくちょう座のアルファ星」になります。

 他にも、西から東にむかって並んでいる順に番号をふった名前もあります。
たとえば、こと座のベガはこと座の中で、西から順に数えていくと3番目にあるから「こと座3番星」。さそり座のアンタレスはさそり座の中で、西から順に数えていくと21番目だから「さそり座21番星」となっています。

 では「アンタレス」とか「ベガ」というような呼び方は、どういうルールでつけられているのでしょうか。じつは、つい最近の2015年くらいまではルールがありませんでした。たとえば、「こと座のベガ」のことを日本では七夕の「おりひめ星」といいます。わし座のアルタイルが「ひこぼし」です。この「ベガ」と「アルタイル」という名前は、1000年以上昔からアラビアでそれぞれわしの姿に見立てられていて、「降りているわし」、「飛んでいるわし」という言葉がもとになっています。こんなふうに、長い歴史の中で世界中のいろいろな場所で星の名前がつけられていったのです。

 では、なぜ最近になってこれらの名前にルールができたかというと、それまではギリシャ文字を使ったルールや番号をふったルールでの名前があったので、いわばニックネームのような名前はいろいろあっても不都合がない、困ることがなかったんですね。ただ、今では、世界天文学連合という組織が世界共通の名前として、これらのニックネームにも、みんなでこれを使いましょうよという公式の名前を決めています。これによって、これまで知られていなかった世界中の星のニックネームが次々と決められています。その中から、さそり座の星をいくつかご紹介します。

ギリシャ語からできた「アンタレス」
アラビア語からできた「シャウラ」
中国からは「ファン」
アフリカからは「ハミディムラ」
オーストラリアからは「ララワグ」
タヒチからは「ピピリマ」
ハワイからは「パイカウハレ」

 日本からは、というと、ひとつだけあります。肉眼では見えなく望遠鏡が必要な星ですが、北海道・アイヌの言葉で「カムイ」と名付けられた、かんむり座にある星です。こうしたギリシャ、ローマ、アラビア、ヨーロッパ、中国、インド、ハワイ、南半球の先住民族といった世界中のいろいろな地域の星の名前が採用されています。

記事:博物館専門調査員(天文担当)/イラスト:博物館専門調査員(情報担当)

※このブログの内容は"FMかつしか「まなびランド」"で令和6年7月17日に放送した内容を編集したものです。博物館専門調査員(情報担当)

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