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宇宙の雑学〜人工衛星とロケットから〜
令和7年3月27日「宇宙の雑学」を二つ、お届けしたいと思います。「人工衛星」「ロケット」のそれぞれについてみていきましょう。

まずは一つ目の雑学、「人工衛星」について。
人工衛星というと、金色のピカピカした箱に大きな太陽電池パネルが取り付けられた姿を想像する方も多いのではないでしょうか。金色にピカピカに光っているのは、多層断熱材と呼ばれ、通称MLIと言います。実は銀色や黒色のものもあります。
この断熱材を取り付けて固定するために使われているものって、何だと思いますか?
宇宙用の特殊な接着剤のようなものでは?と思われた方も多いかもしれません。でも実は百円ショップ等でも見かける、ある身近なものが使われています。それは...『マジックテープ』です。
接着剤などを使うと、劣化して剥がれやすくなったりしますが、断熱材にマジックテープを縫い付けているので、何かがぶつかるというようなことがない限り、外れてしまうことはありません。宇宙は真空なので風などの抵抗を受けないのです。
宇宙と聞くと高価な物ばかりで作られているイメージがありますが、色々な知恵が集結されているのですね!

では次に二つ目の雑学、「ロケット」について。
現在、ロケットは世界各国で開発されています。日本でも現在、大型ロケットとしてはH-ⅡAロケットとH3ロケットがあります。
日本の大型ロケットを見てみると、先端部分は白色で、それ以外はほとんどがオレンジ色に見えます。ではなぜこのような色なのでしょう?
誰かが見た目をデザインでもして、塗装しているのでは?と思う方もいるかもしれませんが、実はコレ、断熱材そのものの色なのです。
先端部分の白い部分は宇宙に打上げる荷物、つまり人工衛星などが搭載されています。白色に見えているのは、大気中を飛行するときに受ける摩擦熱から搭載物を守るための断熱塗料を塗った部分。単に塗っているのではなくて、きちんと「断熱する」という効果があります。
そして今回注目したいのが、オレンジ色に見えている部分。燃料を入れるタンクのある場所です。

タンクに入っている燃料は、温度が低いです。日本の大型ロケットは液体ロケットと言われ、液体の水素と酸素を燃料としています。液体水素の温度はマイナス253℃、液体酸素はマイナス183℃です。何もしないと、タンクに燃料を入れた瞬間からどんどん燃料は蒸発してしまいます。なので、断熱材はすごく重要です。
断熱材は、燃料が入っているタンクの上からスプレーしています。素材は触ってみると発泡スチロールみたいな感触で、「PIF」と言います。
なんとこの断熱材は、『色が変わる断熱材』なのです。最初からオレンジ色というわけではありません。断熱材を吹きかけた直後の最初は白いのですが、徐々に黄味がかっていき、最後にはオレンジ色になります。これは紫外線が当たることで化学反応を起こした結果です。
ロケットの断熱材そのものの色が、日本の大型ロケットを彩っていたのですね。
今回ご紹介した雑学は、いずれも私が初めて知ったときに目から鱗になったものを取り上げました。皆さんへも新たな発見をお届けできていれば嬉しいです。
記事:博物館専門調査員(天文担当)/写真:JAXAデジタルアーカイブスより
※このブログの内容は"FMかつしか「まなびランド」"で令和6年2月21日に放送した内容を編集したものです。博物館専門調査員(情報担当)